回転寿司というサスペンス
父と久しぶりに外食に行きました。実家に独りで遊びに行き、両親と昼食をいただく予定でしたが、急に父が、「回転寿司に行こう。」と言い出したそうで、二人で行くことになりました。母は、お腹の調子が良くないので、留守番となりました。実家の近くには、幾つかの飲食店がありますが、回転寿司は2つ。くら寿司と、はま寿司があり、店舗の距離はおよそ200mです。まさに、目と鼻の先にあり、目の敵といわんばかりに、ノボリを敷地の境界線に目白押しに並べて、寿司に目が無いお客さんを誘導しています。今回は、はま寿司を選びました。入って待ち構えていたのは、スマイル全開の店員さん、ではなくて、ペッパー君です。ペッパー君は、あの、ロボットのペッパー君です。ハイテクに案内されて、店に入って食って帰ったのです。こんな駄洒落を面白いと言ってくれるのは、ペッパー君くらいかもしれません。iphoneのSiriに言うと、「すみません、よくわかりません。」と謝られます。ちなみに、Siriに「駄洒落を言って。」とお願いすると、「恥ずかしいから嫌です。」と拒否されました。「布団が吹っ飛んだ。」と言うと、「座布団10枚。」と反応してくれました。なかなか奥ゆかしい返答です。それで、ペッパー君に案内を受けたカウンター席の番号に座り、注文をするのですが、カウンター席一つ一つにタブレットが設置されており、タッチして注文ができるようになっていました。時代の流れとはいえ、こういうシステムを見ると思わず「ほう。」と感嘆の吐息を漏らしてしまいます。便利な世の中になりつつあるのですね。しかも、ハイテクを取り入れたシステムなのに、料金は決して高くないという、消費者に優しいシステムです。これは、素直に素晴らしいですし、経営もしばらくは大丈夫だろうと予想されます。特に心配はしていませんが。ただ、意外と多くの店員さんが待機しているのですね。それだけお客さんからの呼び出しが多いということでしょうか。お会計以外の呼び出しとなれば、注文した商品が届かない、違う商品が届いた(店員が持ってきた)、商品の味がおかしい、ボタンを間違えて押した、等が考えられます。僕は、この日は1皿だけ、注文したしめさばが届かなかったのですが、タブレットで確認すると、「お届け済み」になっていました。もしかして、食べた事を忘れたのか?と思い、お皿の数と、注文履歴を照合しましたが、やはり合いません。安堵の胸をなでおろしつつ、さて、どうしたものか、と悩みました。店員さんを呼び出そうかとも考えましたが、目線の先に、食べたかったしめさばを捉えました。それは、コンベアに乗って近づいてきました。会計は、食べた皿をカウントするので、注文履歴との整合性は取れなくても問題は無い事に気付き、ずっと回っていたであろうしめさばを取りました。ちなみに、注文した皿は、「ご注文品」という少し大きいカップに乗って回ってくるので、ずっと回っているお皿と簡単に区別できます。再注文しても良いのですが、「まあ、いっか。」と思い、取って食べたのでした。この手軽さが、回転寿司の魅力でもあります。父は、青魚から始まり、赤身、白身、エビ、軍艦、みそ汁などを注文していました。手慣れたもので、ホイホイとタブレットを操作しては、回ってきた皿をヒョイヒョイと取り上げ、醤油をポタポタたらし、パクパクしていました。メニューを見ていると、軍艦巻きで唐揚げやハンバーグが変わりネタですし、寿司屋なのに、コーヒーやデザートまでありました。回転寿司は、もはや、回せないものは無い、と言わんばかりの勢いですね。時々、店長さんの独り言が書かれたカードが回ってきたら面白いかもしれません。ディズニーが回転寿司を始めたら、様々なキャラクタが一緒に回ってきて楽しそうですね。夢が回転寿司で回る時代が、果たしてやってくるのか、暖かい眼差しで見守っていきたいと思います。
