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    そしてデジタルだけが残った

    世の中には様々なデジタル機器が氾濫していますね。氾濫は言い過ぎでしょうか。浸透している、ですか。いやいや、ここは普及でしょう、という意見はごもっともです。とにかく、(少なくとも僕の)生活のシーンで周りを見渡すと、スマートフォンを筆頭にパソコン、電子ピアノ、テレビ、Bluetoothイヤホン、Nintendo ds、CDラジカセ、デジタル時計、ルータ、外付けHDD、Blu-rayレコーダ、温度計、などなど枚挙に暇がありません、というと格好いいのですが、ただ単にそれ以上思いつきませんでした。これらに共通で使われている技術はアナログからデジタルへの変換機能、或いはその逆変換です。前者がADC(Analog to Digital Converter)、後者がDAC(Digital to Analog Converter)と表記されます。ADCは例えば温度計を考えてみましょう。センサとして使われるのは金属でも高価なイメージの白金(プラチナ)や、サーミスタというセラミック半導体が多いようです。これらは、センサ部に接触する温度により電気抵抗の値が一定に変化する特性を有していて、その変化を私たちが理解しやすい数字に変換しています。変換の順序は、標本化→量子化→符号化となります。標本化は単位時間あたりの測定回数。1秒毎に表示を変更するなら、1Hz(ヘルツ)或いは1sps(sample per second)です。量子化は予め決めておいた範囲内で入力値を読み込みます。これは分解能といい、bit(ビット)で表されます。10bitであれば2の10乗で、入力値を1024段階で表します。そして符号化でこの値を二進数に変換して出力します。温度表示の際は、例えば、1024を70℃、0を-30℃としておきます。入力値が512であれば観測の対象物が20℃であることが判ります。音楽用のCDは標本化を44.1kHzとしています。これは1秒間に44,100,000回も入力値を読み込んでいることになります。何という働き者なのでしょう。僕は1秒間でせいぜい5文字程度しか読めません。聞き取りも同様でしょう。それ以上は処理できません。こうやって考えると、電子機器の働きぶりは驚愕ですね。最近よく見かける「ハイレゾ音源」なるものは、標本化と量子化をさらに精度を向上させた技術です。これにより、より「自然に近い音」が聴けるそうです。かの蓄音機は、どういう想いでいるのでしょう。機械だから、何も想わないですよね。失礼しました。自然に近い音、と聞くと何だか優しいイメージを想い浮かべる人が多いのかもしれませんが、僕は逆です。雑音が多くて余計な情報が入ってくるのではないか、と思うのです。「自然な音」をどう定義するか、という話かもしれませんが、レコーディングに関していえば、理想的な環境で録音されたとして、例えば歌い手のブレス音、ギターのスライド音、ピアノのペダル音なども拾ってしまうのではないか、と。それらは確かに「自然な音」ではあるのですが、不要な情報であるのです。もちろん、否定をしている訳ではありません。個人の趣向です。僕は、「そこまでしなくても」と考えています。同様に、蓄音機の針がすれる音は好きではありません。出来るだけ演奏をクリアに聞きたい、と思います。しかし、技術の進歩は確実にしているわけで、その意味ではハイレゾ音源が氾濫・・・じゃなくて普及して、多くの需要が満たされれば、経済も多少は潤う訳で、その積み重ねが日本の将来を明るくしているのであれば、一度ハイレゾ音源の機器を購入しても良いかな、と考えを改めた次第です。購入時は、このブログを印刷して奥様に交渉してみようかな。「結局、何が言いたいの?欲しいのでしょ?」と言われて終わりだと予想しています。さて、9月もこれで終わり。明日は台風一過のニュースで持ち切りでしょう。

    辛さは食べると判る