雑談

木を見ている時間は暖かい

木はとても不思議なモノです。生活(特に居住空間)には欠かせない素材ですが、これは地域によって異なるかもしれませんね。砂漠地帯では、そもそも住宅に使用できる量の木が生えていないので、木造建築は難しいでしょう。都会では空間の有効利用のため、強度に優れたコンクリートと鉄骨による建物がどうしても多くなります。日本の田舎では、とても立派な木造建築を見ることができます。築100年という住宅も存在しています。もちろん、そこで代々生活している人がいるのです。一度お邪魔した建物は、築120年で、とても広く開放的なデザインでしたが、寒冷地ですから冬は寒いのだろうな、と想像しました。立派な囲炉裏がありましたが、それでどれほど寒さを賄えるのか、実際に生活してみないと判りません。木材の色は、焦げ茶色というか、黒っぽいというのか、とても良い風合いで、表面に艶がありました。「本当に良い木というのは、このようなモノを言うのだろうな」と感心したものです。最近の建売住宅の寿命は、30年から50年と言われますが、その倍以上、実用に耐えてなお美しさが健在というのは、一種の芸術品と言えそうです。きっと、名のある職人さんが素材選びから拘ったのでしょう。素晴らしい仕事ですね。後世に残せるモノを産み出すという仕事は、簡単にはできません。そういえば、窓枠は金属製や樹脂製より、木製が最も外気の影響を受けにくいのですね。熱伝導率が低いから、という要因が挙げられますが、冬場は乾燥するので、木材は収縮して、スキマが生じるのではないのか、と心配になりましたが、どうやらそうではないようです。気密性、通風性はアルミサッシと同等で、耐火性はそれ以上の性能を誇る、と謳っているメーカーがいました。おそらく事実なのでしょう。日本の寒い冬を乗り越えてきた木造建築のノウハウは、今でも生きていると言えますね。昔はペアガラスというものがなかった(というか、ガラスがなかった)ので、窓の代わりに障子を入れて、縁側を挟んで、また障子を入れていましたね。これがペアガラスの代わりとなって、寒さを防ぐ知恵だったことが伺えます。もっと昔ですと、例えば白川郷などの合唱造りは、窓枠に障子のみだそうです。和紙を用いることで、雨にも耐えることができるということは、和紙はとても丈夫なのですね。あの急な傾斜である萱葺きの屋根がとても印象に残ります。囲炉裏は当然あり、年中その火を絶やす事が無いとか。その囲炉裏から発生する煙やススが、建物の劣化を防ぎ、害虫から守るのです。囲炉裏を炊いていない家は、直ぐに腐食が始まり、住めなくなるそうです。人体には悪影響を及ぼしそうですが、居住空間を護ることが何よりも優先することで、人間も安心して長く暮らせる。そちらの方が健全なのかもしれません。幼少期はまだ、ばあちゃんの知恵袋がとても生活に役に立つ、と認識していました。今でもそうですが、大抵の人はもうインターネットで検索してしまうので、おばあちゃんの知恵を借りる機会は少なくなっていますね。そして、コミュニケーションも減少し、寂しい思いをしていらっしゃる方も多い事でしょう。時代の流れとは言え、敬老の精神はいつまでも継承してもらいたいものです。と偉そうなことを書いてしまいましたが、僕自身がそれほど実践できていないかも・・・

テトラポットに乗って