雑談

旅館の未来はウォウウォウ

日本国内には、温泉旅館が数多のごとく存在しています。旅館で一泊してご飯もご馳走になると1万円前後の出費となります。目玉の温泉は、入浴できてもせいぜい3回。ご飯前、就寝前、朝となります。これ以上はのぼせる可能性があるので、僕は無理して入浴しません。時間も1回あたりせいぜい20分くらいです。これは、着替えを含めた時間です。ですから、入浴自体は10分程度でしょうか。せっかくの温泉だから、もっと堪能したいのですが、身体が危険を感じてしまい、残念ながらそれくらい(トータル30分)しか楽しむことができません。それでも、充分だと感じています。文句を言っているのではありません。ただ、日本の温泉旅館は「温泉」という言葉に拘り過ぎている部分があるのではないかな、とふと思った次第です。さて、今日はニュースで見かけた内容で恐縮ですが、とある老舗旅館(創業100年)が倒産寸前だったところを、跡を継いだ夫婦が回復させた、という記事を読みました。この旅館は、将棋の名人戦の対局の場としても使われる、いわゆる「御用達」の高級(と思われる)旅館です。察するに多くの著名人もお忍びで利用されることでしょう。それだけの魅力があるということは、経営も安泰しているのかな、と素人目には映るのですが、実情は借金が10億円まで膨らんでいたそうです。これが2009年頃の話です。その状態で、若旦那(経営者の息子)がパートナと共に引き継ぎ、現状を打破すべく様々な対策を講じます。大きな問題点は、先代(つまり若旦那の実父)が、経営管理を全てどんぶり勘定で済ませていたことです。食品の仕入れ、人件費、売り上げなどを帳簿には記入するものの、手書きで簡単に済ませてきたため、少量の誤差が積み重なり、10億円という金額に到達したのでしょう。現金の動きを把握できていなかった事が一番の要因と分かったのですが、その部分をどうやって「利益を上げながら」改善するか。資金に余裕があれば、最先端の情報システムを導入すれば、管理は当然楽になります。それは当然、検討したのですが費用が掛かりすぎるのです。若旦那はもともとエンジニアという事もあり、そういうシステムを導入する事には何の躊躇もなかったそうですが、お金の問題はどうやってもクリアできない。いろいろと探していると「クラウドサービス」というインターネット上でアプリケーション(ここでは経営管理の支援ツール)を利用できることを見つけました。それを利用する事のメリットは、システムが古くなって、更新が必要となっても、サービスの供給側のソフトを変更すれば済む話で、新しい機械やソフトウェアを購入する必要がありません。利用するサービス料を支払うだけです。それを知った矢先、1人の入社希望者が面接にきて、前職を訪ねるとシステムエンジニアだというのです。この人をすぐに採用し、自社独自のアプリケーションを作成してもらい、クラウドサービスと新たなアプリケーションツールを融合させて、改善に臨みました。従業員にiPadを配布し、勤怠管理や顧客情報、サービス情報、売り上げ情報など様々な情報を各々が入力、閲覧、共有できるようにしました。従業員が何時でも経営状況を知ることができるのです。また、帳簿を電子化したことで、無駄な記帳の時間、確認の時間を割くことにより、よりお客へのサービスに集中できるようにしました。また、高級志向の客室を設け、客単価の改善も行いました。また、もともと結婚式で使われていたこともあったので、ブライダル事業も本格的に開始したのです。そうして、3年で経営は黒字化し、徐々に回復している、ということです。この記事は極端な事例ですが、赤字経営には原因があり、どのように最適化できるか、がマネジメントの難しさなのだな、と思いました。情報技術者にはマネジメント力も求められることは、IT関連の資格の内容からも判りますし、そういう人材が増えることで、今後の日本経済維持の原動力となるのでしょう。これから大企業は細分化していくのではないか、との見方もあります。それだけ顧客のニーズが多様化していることが原因です。多くのものを安く大量に製造する時代はもう終わるのかもしれません。もっと個々のスペシャルなニーズを満たすべく、様々な業態が生れることでしょう。会社員でいる事に、非常にありがたいと思う今日この頃ですが、ゆくゆくは甘えてばかりもいられないな、と考えるようになりました。

落葉サーフィン