-
油を売ってください
ゴールデンウイークは終わってしまいましたが、ニュースでは相変わらず帰省ラッシュや行楽の混雑ぶりを取り上げていました。あの渋滞した高速道路に、自ら志願して仲間に入りたい、と思う人は一人もいないでしょうけれど、承知で出かけたはずですから、文句は言えませんよね。僕は毎日家でひっそりと暮らしていました。快適でした。公園に行った際に、駐車場が満車で、路上駐車が遠慮なくはびこってしまい、そのおかげで友人が駐車をあきらめ、自宅に引き返していった、という非常に小さな事件が発生していたのです。テレビ局にリークしてやろうか、とは思いませんでしたが、なかなかインパクトはありました。ネットで調べれば、交通情報は広範囲で、リアルタイムに得る事が可能ですし。あの渋滞により生まれる経済効果って、あるのでしょうか?サービスエリアのお店が一時的に利益を得ることはあるかと思いますが、全体を見れば、損失が大きいと素人目には映ります。幾つか挙げてみましょう。①渋滞を避けるために、高速道路の利用を控える。②渋滞を予測して外出しない人が増える。③輸送トラックが走れない④何よりも、時間がムダに浪費されてしまう、等々があります。また、生命の危険を脅かす事も予想されます。事故が発生した場合、救急車の到着が遅れる可能性がかなり高くなります。渋滞中の高速で道を譲るとしても、後方から救急車が来てから避け始めるため、どうしてもゆっくり走行することになります。救急車は高速(80km/時以上)で現場に向けう事ができない、これが命の危険に関わる事はあきらかですね。渋滞による経済損失の金額がどれほどか調べてみると、年間12兆円と出てきます。恐ろしい金額ですね。GDPでいうと2%、とか言われてもピンとこないので、一人あたりで考えてみましょう。単純に1億2千万人で割ると、一人あたり年間10万円損をしているのです。こうやって考えると、よく分かりますね。毎月、8300円くらいの不明な支出が発生しているのです。しかし、交通渋滞が完全に解消されたからといって、毎月、8300円が口座に振り込まれることもありません。これを知ると、「なんだ、じゃあ、損失もしていないじゃないか」と思われる方もいらっしゃることでしょう。それはそれでよろしいかと。渋滞を緩和するための対策として、真っ先にインフラを増設することが挙げられます。恐らく、これまでは一定の効果はあったと思われます。しかし、作りっぱなしという訳にはいかないので、そのインフラの老朽化の問題が出てきました。橋やトンネルの崩壊のニュースは、時折流れますが、今後、さらに増える可能性があるそうです。一昨日にインフラ問題を少し織り交ぜましたけど、社会インフラ(道路や橋、建物、通信網、送電線)の維持、管理の費用は、現状の費用と比較すると、2037年頃を境に予算を上回り、後は上昇を続けるようです。そうなると、当然、対策が必要なわけで、民間企業の参入やインフラ整備の集中と選択、といった方法が採られる事が予想されます。そこで必要になってくるのがAI(人口知能)、IoT(モノのインターネット)といった技術です。インフラの整備にあたり、どこが悪いのか、ピンポイントで、しかも迅速に発見できれば、あとは必要な補修を行うだけです。現状では、現地に専門家が行って、目視による確認と、装置を使って測定しています。それを例えば、ドローンが単体で行う事ができるようになれば、良い訳です。ヒトの労力が不要になり、人件費も削減されます。ドローンから得た情報を解析するのはAIの役目となっていくでしょう。最終的な確認は、人が行いますが、それはどうしようもない部分です。そこまでの信頼はまだ生まれていないでしょうから。しかし、確実に、そういう時代に変化してきています。もうすぐですね。渋滞問題がなおざりになっていましたが、こちらもAI、IoTの活用により、今後は緩和されていくと期待しています。人口が減少すれば、渋滞がなくなる、という話ではありませんからね。連休の在り方を考えるのも一つの、しかも効果的な手段だと言えます。水入らず、という言葉があまり使われなくなりましたが、油に水が混ざっていない状態のことを指しています。由来を知ると、身内を油、他を水と例えていることになり、なんだか油と言われると粘度が気になりますが、そう考えると、インターネットの世界は常に水入らず、ですね。強いていえば、ウイルスを送りつけてくる、水野郎がいますけれど。人が集まる場所が好き、という都会的な考えの人が減らない限り、渋滞は続いていくのかな、とは思いますがいかがでしょうか。
人生最長の渋滞20km