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ワイルドを採り上げる
昨日の写真を見て、少なからず思い出す事がありました。オーストラリアの西海岸のブルームという町から、ノーザンテリトリのダーウィンという町まで、6泊7日かけて旅をするワイルドバスツアーに参加したのですが、これが本当にワイルドだった。まともにシャワーを浴びたのは、1回だけです。後は、「野となれ山となれ」という感じで、海で泳いだり川で泳いだり、ホットスプリングス(温泉)に水着で浸かったりして、かろうじて汗を流す事ができました。男性はそれほど苦にならないでしょうが、女性にはかなりハードな旅だと思われます。しかし、意外にも女性の参加者の方が多いみたいです。これ以外のツアーにも参加しましたが、総じて、女性の参加率の方が明らかに高いのです。旅行自体が、女性に人気があるのかもしれませんね。それで、ワイルドなツアーという事で、寝る時は、寝袋が与えられるのですが、外です。日中は40℃まで上がり、夜間は20℃以下まで下がっていたと思います。寒くは無いのですが、夜な夜な、カンガルーが襲ってきたらどうしようか、と本気で心配していました。しかし、その時見た夜空は、本当に美しかった。日本であれば、地上からミルキーウェイ(天の川)が見えるところは、ほんの一部だと思います。街灯が至る所にあるし、町の明かりが夜空に反射しているため、明るい星しか見えません。中学生の時、乗鞍岳で天体観測した時は、ミルキーウェイが見えました。それ以上の星空が、地上から、寝転がって見ることができるのです。もちろん、南十字星もはっきりと捉えることができました。「カンガルーに踏みつぶされても、我が人生に悔いなし」と思いましたね。もっとも、南十字星は明るい市街地でも夜になると観察することができますから、それほど万感胸にせまるほどではありませんでしたけど。それに、十字架というには、少し形がいびつなのですよね・・・いえ、異を唱えるつもりはありませんが、想像していたよりはちょっと、というお話です。それで、その寝袋で寝ようとしている時に、近くにいた日本人の男女二人(カップルではない)が、理系出身だ、という話に始まり、星座の話を始めたのですが、女性がどうやらあまり詳しくなかったようで、男性が「○○さんは、本当に理系出身ですか?」と話しているのを聞いて、「ほお」と思いました。僕は理系でも文系でもありませんが、「この先、安易に理系を名乗るのは、僕には荷が重すぎる」ということが分かったので、聞き耳を立てて聞いた甲斐があったというものです。6泊7日のバスツアーということですが、食料はどうするのか、という問題が浮かんできます。それは意外と簡単で、バスには冷蔵庫が設置してあり、そこに食料が入っているのです。飲み物とシリアル(コーンフレーク類)、パン、野菜、肉類など、かなりバラエティに富んだ食材が乗っていました。しかし、ワイルドツアーですから、セルフサービスなのです。バスの外でテーブルを並べて、食材を運び、順番に欲しいものを取っていくのです。いやあ、これもなかなか日本では体験できないですよね。日本では、至れり尽くせりの感じでないと、お客さんからすぐにクレームが来ますからね。そういう意味では、面白いシステムだな、と感じました。ツアーバスは、1回で最大30人くらいまで参加できるのですが、これをガイドが一人で担当するのです。運転しながらヘッドマイクを着け てサイト案内をしたり歌って盛り上げたり、食事時になれば食材の準備、夜になれば、(デジタルカメラや携帯電話の)充電の世話をしたり・・・本当に休む暇がないくらい、お客さんと接しているのです。それが1週間続くのです。とてもタフな仕事だな、と感じた次第です。ツアーが終わった後、ガイドさんはお酒を浴びるほど飲んで1日静養し、またブルームに運転して戻ると聞ました。距離で言うと1800km。日本列島よりも長い距離を、2日で走破するというのも、過酷ですね。不慮の事故が起きないことを願うばかりです。さて、ワイルドといえば、一時、それをネタにして脚光を浴びた芸人さんが居ましたが、今は元気なのでしょうか。彼を見て残念に思ったのは、言うほどワイルドではなかった、という点に尽きます。
野営の準備中