勝者のしたたかさ
サッカーワールドカップでの日本対ベルギー戦の後も、興奮冷めやらぬ世間では、関連ニュースが続々とネット上に流れていますが、冷静な意見として、負けは負けだ、というのが最も的確な指摘だと思います。4試合で勝ったのはコロンビア戦のみ。そういう結果にフォーカスせずに、内容に拘っていては、優勝はできないのかもしれません。冷酷無比なパス回しを日本代表チームは成し遂げたのですから、あの精神が、求められているのでしょうね。最も、サッカーファンとしては、鬩ぎあいが見たいわけですから、マニアックな戦術論はご容赦いただきたいものです。他の国、或いは他の国内の地域における教育は、全く把握していませんが、僕が育った環境では、結果よりも内容を求めるような考え方が多かったように感じます。例えば、と言っても、例が思い浮かばないので、ビリヤードのゲームから思い起こしてみましょう。ナインボールやエイトボールが有名ですが、ナインボールは9番をポケットに入れたら勝ち。エイトボールは、8番を指定したポケットに落としたら勝ちです。細かいルールはそれぞれありますが、その勝ちが決まるボールの事をゲームボールと言います。ある程度のレベルになると、ナインボールなんかでは、ブレイクした人が、9番まですべてポケットしてしまいます。これをランアウト(Run Out)またはマスワリなどと呼びます。プロの試合では、ナインボール7ゲーム先取で、バンキング(最初のブレイク権を決めるショット)を撞いてから、一度もテーブルに立つことなく負ける場合もあります。これは、当然勝者が素晴らしいプレーをした結果なのです。時々、最後のナインボールが確実にポケットされると予想して、撞いていないプレーヤは「OK」を出すことがあります。これは暗黙の了解みたいなもので、正式なルールではないと思います。相手に対して、敬意を払う行為ではありますが、先ほど述べた、結果を重視するなら、このOKは基本的に出さないでしょう。もしかしたら、0.01パーセントくらいの確率で、自分の順番が回ってくるかもしれません。実際に、そういう試合が決まるゲームボールを外して、相手に逆転勝利されるケースはあります。プロだけでなく、アマチュアの試合でもあるのです。この辺りが、結果に拘るかどうか、の線引きになってくるのだと思います。分かり難い例をあげましたが、日本では、この「OK」を出す人がとても多いのです。特に目上の人に対してですね。それはそれで、大事な考え方でしょうけれど、真剣勝負であれば、最後まで成り行きを見届けることが、勝つ確率を上げる手段であることは疑いようがありません。僕は、残りの人生は計算高く生きていきたいと思います。時に、周りに批判される事もあるでしょうが、それでも自分の考えが正しいと言えるうちは、「ああ、そうですか」という感じです。これを書いていて、なんて傲慢な男だ、と自己嫌悪に陥りそうになりましたが、子供たちの寝顔を見て、少し癒されようと思います。
